霧の冷却効果を利用したヒートアイランド対策

1,霧の可能性
 大都市のヒートアイランド現象をひどくする要因として、高密度に設置されたビルの冷房機器から発生する熱、自動車から発生する熱の他に、緑地・水面など水の蒸発する面積の減少があげられている。緑地や水面からは水分が蒸発して、潜熱として空気中の熱を奪う働きがある。ヒートアイランド対策として、屋上緑化など緑化面積、路上の散水が実施されようとしている。
 ここで注目する必要があるのは霧の利用である。細かい霧は夏期の高温低湿度の空気中ですみやかに蒸散して、効果的に周辺空気を冷却することができる。気温が上がるほど、飽和水蒸気量は相乗的に増加し、蒸散効果が期待できる。霧は立体的に散布できるため、蒸発の効率が高い特性をもっている。
 この作用を利用するシステムが考えられる
 霧は粒子が小さいほど落下速度が遅くなり、粒子表面積が大きくなり、蒸発が早い。
 一方、粒子の細かい霧を発生させるのには高い水圧が必要となる。これから次のようなシステムが考えられる。

2,冷却システム
2−1、一般建築物での利用(平面的)
 高圧力で平均粒径17ミクロン程度の非常に微細な霧を発生させた場合、落下速度が非常に遅く、1mくらいの高さでも地上に落下する前に蒸散し、気化熱を効率的に奪うことができる。建物屋上や周辺に設置してヒートアイランド対策として効果がある。

2−2、高層ビルにおける落下高の利用
 高層ビル上部で霧を発生させた場合、霧のサイズが相当大きくても湿度が高くなければ落下中に蒸散する。このことを利用して、エネルギー使用の少ない、効率的な壁面冷却システムが可能となる。南面を中心に屋上のへりにノズルを設置して、外側に霧を放出するものである。
 建物が高いと、落下距離をかせげるので霧のサイズは大きくすることが可能で、また高さがそれほどない場合、ある程度粒子を細かくする必要がある。 

3,霧システムの運転
 夏期、気温30℃以上の日照時が考えられる。高温が続いた2004年の7月から9月までの3ヶ月間において気温30℃以上の時間は442時間でこれは1年間の5%ですみ、管理費もそれほどかからない。

東京の真夏日日数の推移