微細霧システム
1,はじめに
 温暖化が進む中で、大都市のヒートアイランド現象の問題が大きくなりつつあり、その対策が求められています。建物が高密度に建つ市街地は屋根や道路など水が蒸発しない面積が非常に多くなっています。空調、自動車交通とこの非蒸発区域面積が大都市の温度上昇を招いています。
 対策として、植物の働きにより市街地を冷やすことがあり、屋上緑化による緑化面積の増大など実施されつつあります。すでに東京都では、新築ビルに対して一定面積の屋上を含む緑化を義務づけています。
 市街地を冷やす有力な方策として、この植物の働きと同様に、水の蒸発による熱吸収を利用することがあります。
微細な霧は速やかに水蒸気化され、熱吸収効果が大きい特徴があります。微細霧システムは設置のため広い面積を必要としないので、ビルの屋上、外壁など機器が建て込んでいるところでも設置可能です。
 微細霧システムに使用する水は貯留された雨水、地下水、水道水のほか下水処理水も可能です。
また水処理施設は高度な処理機能を持つので、非常時の飲み水発生装置として使えるようにすることも可能です。

2,システムの構成
屋上などで数十ミクロンという微細な霧を発生させるノズルで霧を発生させ、蒸発熱により周辺空気、一部濡れた屋根面を冷却するものです。設備は高度浄水施設、ポンプ、制御施設、配管、微細霧ノズルで構成されます。



 緑化できるところは可能な限り緑化し、通路、機械スペースなど緑化できないところは微細霧システムを設置して、敷地全体が緑化されたと同等以上の蒸発散効果にすることが可能です。

       霧システムの特徴

3,計算例   05.7.7
 敷地面積3千m2(東西60m南北50m)の建築面積1320m2(東西44m南北30m)の建物を考えます。
 建物屋上の南側の一部に霧システムを設置することにします。この建物は庭で200m2、屋上緑化で500m2の合計700m2の緑化をしています。
 一列にノズルを配置し、景観用より密度を落として165個のノズルを設置することを考えます。このシステムを運転した場合、1時間に1200リットルの水を気化できます。
 この蒸発量は敷地全体の3/4が緑地になったと同じ程度の量になります。緑地とあわせ、敷地全体が緑化したのと同程度の蒸発散効果が出ます。
 通常は使われない屋上の、端の空間を利用して、効果的にヒートアイランド対策を行うことができます。
 ノズルの密度をもっと上げて、敷地全体が水面になったと同じ程度の蒸発量にすることも可能です。