逆転の思想−148        目次
              水道公論2015年8月号


  独仏のタクシー事情
 水辺取材で 2012年にパリ周辺、2012は南ドイツに一人で回った。バスなど公共交通がよく分からないのとエコノミーとはいえ高い飛行機代、宿代を払っているので、できるだけ時間を効率的に使う必要があるのでタクシーが使えるとありがたい。ただ隣国でこれほどタクシー事情が異なるのには驚いた。運転手は中東など外国出身が多い。
 9月末にパリ南西のニュータウンであるサンタンカン・イブリンヌに向かった。快速電車でヴェルサイユの次の駅である。駅前に5台くらいのタクシーがいて,目的地が2kmくらい先の分かりやすい所で、撮影中は待ち料金がかかり、往復するので時間の無駄がなく、当然乗せてくれると思ったが全員に乗車拒否されてしまった。他の客が多くないのに。たまたまヴェルサイユ方面に行く日本人が助けてくれたがだめであった。付近の写真取材をして駅に戻り再度トライしたがたむろしている多くのタクシーが前と同様に行かないといい、やっとあいつなら行ってくれるという一台で往復できた。その運転手は親切であった。
 庭園がすばらしいヴォールヴィコント城はパリ南東のメランという駅から車で20分くらいの所にあり、週末に駅で降りてタクシーの乗り場に行ったら車がいなくて、電話で呼んでいた英国人夫婦に相乗りを頼んで了解を得ることができ、幸運であった。その帰り、週末だけ運行するバスの時間と合わないので、タクシー呼び出し看板の所から電話をしたら、通じて10分くらいで迎えに来てくれた。公共交通機関が不便なところでタクシーがあまり使えないというのは不安のもととなる。
また鉄道のヴェルサイユ駅から宮殿まで行くのに距離がちょっとあるので駅前に待機していたタクシーに声をかけたら近いから歩いて行けと言われてしまった。
 一方、翌夏に出かけたドイツではタクシーが非常に便利で、駅前ではタクシーが待機しているし、大きくない街でも主要な観光スポットのタクシー乗り場に複数台待機していて大いに助かった。
 フランクフルト滞在の最後の晩にホテルから離れた大衆レストランにタクシーで行った。沢山のドイツ人グループがいて満席であった。居酒屋風のところで集団で飲むのは日本とよく似ている。そうそうにご飯を食べ、帰りにレストランでタクシーを頼んだらすぐ先にいるからそこへ行けと言われてしまった。不安な思いで人通りの多くないその場所に行くとタクシーが2、3台止まっていてホテルに帰ることができた。日本より便利なくらいであった。
フランスでは観光都市でも地方ではタクシーが頼りにならないらしく、同じEUのなかでこんなに違うものかという印象であった。観光客がずっと多いのだから、フランスでタクシーがもっと便利になれば観光客に便利になり、地元経済にもいいと思うのだが。