逆転の思想−140        目次
              水道公論2014年11月号


  検索サービス独占の危険性
 インターネットで大変便利なのが検索サービスで、分からない言葉、薬などの情報、パソコンのトラブル対処、歴史上の出来事、催し物の検索などいろいろな情報を調べるのに使わざるを得ない。検索情報サービスは昔は複数あったが日本では今グーグル社のものがその多くを占めている。
 最近この検索サービスで調べると商品の売り込みが上位にきたり、入力した言葉に該当しないような広告が目立つところに出てくるようになり、探したい項目がすぐ出てこないようになった。以前はこの傾向は少なかったと思う。
 広告の掲載は有料であろうから、多ければ多いほど情報検索サービス会社が儲かるようになる。検索サービスが複数の競争であれば、利用者が使いにくい方を避けるだろうが一つしかないと不便になっても使わざるを得ない。独占の弊害がでてきたように見える。
 この連載65(2008年4月)で無料サービスの危険性について述べさせていただいた。だれでも使え、無料と言うことは、商取引の規制からはずれ、利用者の意志が入りにくくなって、事業者が勝手に事業執行できることを意味する。閲覧者は見ないという意志表示しかできない。
 無料サービスは便利であるが、その寡占化には注意を払っていかなければならない。
地図サービスでもグーグルは多額の経費をかけて世界中至る所の通りからまわりの建物を眺められるようなシステムまでつくっている。まだゼンリンが支えるヤフーやニフティなどの地図検索が頑張っているが。
 インターネットがない時代で、テレビ放送で民間放送が一局しかなかったら、広告時間は取り放題になるだろうし、広告料も競争相手がインパクトが違う新聞や雑誌なので、高額な要求ができただろう。
 インターネット通販、取引などの比率が増えている状態では、検索エンジンの広告料をどんどん値上げすることも可能と思われる。
この対策の一つは、一般の情報検索サービスを使わなくてもいいような社会にしていくことである。価格コムなどの商品情報サービス、寄付で運営しているウイキペディア電子百科事典などの辞書、宿泊施設や食事所の情報・予約サービスなど、一般検索サービスに頼らない検索サービスがもっと成長してくれると一般情報検索もそう勝手ができなくなるだろうと思われありがたいのだが。
 欧州ではグーグル閲覧ソフトが自社誘導していると独禁法の調査に入っていて、改善案が論議されているらしい。我が国でも消費者保護の観点から監視に乗り出して欲しいものである。