逆転の思想−135        目次
              水道公論2014年6月号


  ベランダ菜園の製品開発
 還暦を過ぎて、いまわの際に思い残しができるだけないようにいろいろな挑戦に心がけている。その一つが農家で作るような白菜を作りたいということであった。
 マンションのベランダでいろいろな野菜作りを試していつも失敗していたが懲りなくやってきた。昨年春、様々な新商品を作り出している会社の大型プランタを見つけ、ジャガイモやトマトなどを植えたが、アリマキなどにやられ、キュウリを除き、成功しなかった。普通のプランタで見事な野菜ができているのを見ると、どうしてこんなことができのか悔しい思いでいっぱいになる。
 これまでの失敗の主原因は、アリマキ、鳥害、病気、水管理であった。とくにアリマキは高層階でもちゃんとやってきて、すぐ増え、薬をかけてもだめであった。アリマキを世話するアリまで高層階にやってくる。テントウムシまで卵を産んでアリマキをけっこうたべてくれたが。鳥の害もひどい。
 夏頃にプランタにかける防虫ネットを見つけたので、野菜を植え試してみた。半日しか陽が当たらないところで、防虫ネットは日射を少し遮るような気がするが結果的には成功で、アリマキはつかず、鳥にも食べられなかった。
 白菜、キャベツ、カリフラワー、セロリ、水菜など総菜の足しになるものに挑戦した。プランタ一つに2株づつ植えた。土を入れると持ち上げにくいほどの大型プランタでも、野菜が大きく育ってくると、大きな方が幅をきかせ小さい方を隅に追いやってしまう。
 白菜は見事に生長して、大きな方をある日収穫してみたら、水のやり過ぎか、腐った部分が多く食べられなかった。しばらくして大きな白菜に負けて小さく成長した白菜を切ってみたら、ちゃんと食べられる状態で、実もつまっていてうれしかった。キャベツの方は大きなものを切ったら見事にできていたが、小さい方を後で切ったら葉が一部茶色になっていて、食べられなかった。水菜とセロリは優等生で、取ってもすぐ生えてきて、買う必要がないくらいであった。カリフラワーも少し小さかったが食べられるものができた。ネットをかけなかったブロッコリーは、鳥に食べられ常に丸坊主に近い状態であった。不思議なことに人間の食べる花の芽を鳥は食べない。
 曲がりなりにも食べられる白菜とキャベツが収穫できたので満足している。マンション住民が増えているなか、一見進歩がなかなか考えられないようなベランダ菜園でも技術革新が進んでいるし、今後も水管理など様々な新製品が期待される。