逆転の思想−127        目次
              水道公論2013年9月号


  ビジネス論理の信頼性
 10年くらい前であろうか、企業の事業方針としてオンリーワンということがさんざん言われていた。事業を、見込みのある所に集中して、他社を圧倒することにより、企業の安定性と収益確保を図るもので、二番手、三番手では、生産量も少なく,販売利益も稼げなく、苦労するのでこういうことをやめようということであった。当然、事業を集中してうまくいかなかったら、ほかに道がなくなってしまうので大変なことになる。
 案の定液晶に集中したシャープに見られるように、オンリーワンに向け集中すると、事業がうまく進まなかったときに,簡単に倒産に至ってしまうリスクが非常に大きいことが示された。
結局、集中しようが、多角経営で行こうが、事業運営がうまくいけば正しいし、うまくいかなければ間違いということになるのだろう。
 本を参考にしたといってもうまくいかなかったときは責任を取ってくれはずもなく、結局は事業責任者の判断が重要であるということになる。
 書店に行くと,いろいろなビジネス書が並んでいる。どうやったら仕事がうまくいき、収入が得られるかというのが基本的であるが、面白いのは正反対の論陣を張る本が両方とも目立つ場所に並んでいることである。
 最も気になるのが日本経済が復活するという本と潰れてしまうという本。売り上げランキングでは上位に入っていないが目につく場所にあるから,両方とも売れているのであろう。
これに加えてアベノミクスで日本が強力に再生するという本とこれで日本経済がもっとおかしくなるという本が、書店で並びだした。
 経済の成り行きの両極端の主張なのだから、どちらかないし両方当たらないことになり、当たるも八卦、当たらぬも八卦というようなことで、こういう本が多数売れて多額の印税が入るのがうらやましい。
 長期にわたる日本経済の低迷に対し欧米の金融関係者は、さんざん日本の経済運営が悪いと言ってきた。しかし、現在欧米が同じような状況になりつつあるが、これまで日本経済を批判してきた連中が反省をするでもない。
金融や経済とはこんなもので、要職にある者が皆同じことを言えば、そうだということになり、間違っていてもあとの責任は誰も取らないということだろうか。
ただ、サブプライムローンというとんでもない詐欺行為をおおがかりに売り込んだり応援した者が、平気な顔で相変わらず大きな顔をしていることをずっと覚えていなければならない