逆転の思想−115        目次
              水道公論2012年8月号


  ビッグマック指数
 ビッグマック指数とは世界各国で売られているビッグマックの価格を現地通貨で比較するもので、英国経済専門紙誌のエコノミストが1986年に始めた。
 持っているお金が外国でどれくらいの価値があるのかは、一般的に為替レートで表されるが、海外収支がが不均衡な場合、強い通貨は過大評価される傾向にあるので、正しいとはいえない。大体色々な経済指数はデフレーターなど含めて、実態を表しているとはいいがたいことがある。
 ビッグマックはほぼ全世界で同一品質のものが販売され、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使いやすい。正確には世界中どこでも品質が同じというものでないし、販売量や利益率によっても変わってくるだろうが、馴染みがあるので参考になる。
 指数というがその国の通貨で表す数字なので、結局比較するのは為替レートで換算したものとなる。為替レートが変動するので年により相当違う。販売価格なので消費税が含まれることも考えなければない。
 最新版の2012年1月の指数をドルに換算すると、日本の価格はアメリカと殆ど変わらない。一方、物価が高いとされるスウェーデンでは4割高、スイスでは6割高にもなる。2011年はもっと高く、スウェーデン9割高、スイス約2倍であった。
 同じ貨幣のユーロ圏の各国が、どうか知りたいが、ユーロ圏として5%高の数値のみである。国別にないということは、販売価格を同じにしているのだろうか。各国とも消費税率は違うだろうし。
 ユーロ周辺国では英国1割安、デンマーク3割高、チェコ2割安で、貨幣をユーロに統一してなかったらこんな風になっていたのであろう。財政を一元化しないでユーロ貨幣だけ統一したのは無理があったかもしれない。
 日本の価格がアメリカと変わらないということは、円高でないということの表れなのだろうか。原材料の大半を輸入している国なので、輸送コストなどが余計にかかり、少し高くなるくらいであるはずなので、為替レートはまだ少し円安気味なのかもしれない。日本の消費税率が上がったら、欧州のように上がっていくのかどうかも興味深い。牛肉を輸出しているオーストラリアはなんと2割高であ
る。
 一方、香港が5割安、韓国が2割安と通貨が過小評価されているように見える。
 1個のビッグマックを購入するのに必要な労働時間指数もあり、なんと東京が10分で世界最小である。時間給にすると1920円。実質賃金が高いことを示しているのだろうか。
情報化時代であるのでこういう指数がいろいろ出てくると世界経済の状況がより分かるようになるのでありがたい。客観的な数字なので、不動産バブルの時に怪しいサブプライム関連金融商品を高ランク付けして、世界中をだました格付け会社のようなことはないだろう。
 世界各都市の、独立採算が原則の水道料、電気料の指数があったら、国情が分かっていいと思われる。