二つあること      - 鳥取県日吉津村の下水処理施設-

水道公論1997年11月号より

4,下水道の常識
 もともと下水道は処理規模を大きくして下水を安定に処理し、効率的に事業実施しようというものであり、まとまった方が経済的である。
 また水処理施設はどれでも、必要水量の確保、運転経費などのことを考え、複数系列置かれるのが常識である。しかし
こういう施設の方が少ないから理解されないのかもしれない。
5,図書館はどうだろうか
二つのものが近接してあってどうだろうかと思われるのが大規模図書館である。図書館にもコミュニテイ単位の小さな図書館、結構情報が多い大規模図書館、特定分野の専門の書籍を集めた図書館などいろいろなものがある。
 蔵書数3十万冊クラス以上の大規模図書館が全国で一四八あるそうである(週刊ダイヤモンド97年1月11日号)。
 図書館は地域ごとにあってもいいが、このような大規模図書館は閲覧の回数の低い専門書を多数収蔵しなければならない性格を持っている。
 このクラスの図書館になると一県に一館程度の配置となる。しかるにその立地をみると、同じ県の中で県庁所在市に県立と市立と二つあるところが多い。山形県では県内の二つの大規模図書館が山形市にある。一つは県立、一つは市立である。二つあるなら一つは県内の第二の都市に置くなどの配慮が必要と思うが。福島県でも県内三つの大規模図書館は、福島に二つ(県立と市立)、郡山に一つある。人口百万人以上の大都市ならば二つ以上あってもいいと思えるが、県内に二つしかなくそれが一つの市にある県が、山形をはじめ、石川、富山、和歌山、香川、愛媛、高知、熊本、大分、鹿児島と10県ある。このほか大都市ではないが県庁所在地など一つの市に二つあるところが青森をはじめとして11市ある。 大規模図書館は広く情報を収集できるが、その運営費は相当かかるものと考えられ、
近接して設置されている場合、専門分野を分担して情報収集の有機的な連携が図られていればいいが、利用頻度の低い専門書をだぶって購入しているとなると、効率が悪いのではないかということになる。
 しかし図書館が連携して情報収集や利用者の効率を考えて運営されていればあれば隣り合って立地してもおかしいことにはならない。例えば図書情報システムが一体的に運用されていると非常に便利である。
 隣り合って
二つあっても施設の機能、効率性を考えてあれば問題ないし、少し離れていてもばらばらであれば問題となる。外見だけでなく、少し突っ込んだ判断が必要と考える。
6,おわりに
 計画設計を工夫し、実施可能な範囲で一番いい選択をしたと思っていた当時の関係者はまさかその施設が将来双子の処理場などと言われて、行政の無駄の代表のように扱われることになるとは夢にも思わなかったことと思われる。
 下水道施設の
大きさが下水量によって定まること、また複数ユニットがあった方が管理上望ましいことは下水道のなかでは当たり前でも、世間では当たり前のことではない。この件に限らず、自分の世界では常識だから皆わかっているだろうと考えがちであるが特に下水道の世界は日頃馴染みがないだけに外から見ておかしく見えるところが多いと思える。
 また、おかしいと同じことを何度も言われるのだから、こちらも
皆で根気よく何度も同じ主張を繰り返していかなければならない。
 下水道関係者は仕事が難しい上、普段忙しくて大変であるが、下水道施設の計画設計の特性も外に十分理解してもらうように努力していかなければならないと考える。

現在の状況(約15年たちました)2000.10.5

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