逆転の思想-77
              水道公論2009年 4月号


  パソコンの立ち上げ
 
 最近、パソコンの立ち上げに時間がかかるようになった。電源を入れて立ち上がって、画面が出てからソフトが満足に起動するのに数分〜10分もかかるようになってきた。インターネットの立ち上げもしばらくの間極端に遅い。半年くらい前までは画面がすぐに安定してソフトがフル稼働していたのに。自宅の3年弱前に購入した高級ノートパソコンでも、最近まで勤めていた専門家が管理してくれていた会社でも同じように遅くなっていた。友達でも多くの人が最近急に遅くなったという感じをもっている。遅くなっていないという人もいるので、アプリケーションシフトのせいなのかもしれない。これだけパソコンが普及した社会で、多くの人に毎日数分のロスがあるとしたら社会全体で莫大な経済損失が発生しているのではないだろうか。
 遅くなった原因として、基本ソフトがセキュリティホール対策などの改訂で複雑になった。ウイルス対策ソフトが複雑化した。通信回線が遅い。などあるみたいであるが専門家に聞いてもはっきりしない。
 普通の商品やサービスなら1つがおかしくなった場合、他のものと比較ができ、判断できるが基本ソフトが独占状態にあるため比較のしようがない。
 7〜8年前までは、パソコンソフトがどんどん複雑になって、古いパソコンでは遅くて対応できなくなり,すぐに買い換えを迫られる追いかけごっこの状態が長期間続いた。しかし、ここ数年はパソコンの値段はどんどん下がっているものの、容量が大変大きくなって、ソフトのために遅くなるということはなくなっていた。
 2007年1月に登場した新しい基本ソフトであるビスタは非常に重いとか操作に慣れないなどと評判が悪く、XPがいまだに支持されている。ビスタは要求性能が高いので,能力の高いパソコンならいいのであろうか。そうだとすると昔のソフトとハードの性能アップのいたちごっこに戻った感がある。ソフトの複雑化とパソコンの性能アップのいたちごっこはユーザーにとっては困るが、ソフト産業やパソコン産業にとっては仕事が減らないありがたいことになる。
 これまで新しい基本ソフトが出ても初期トラブルが多かったため、ユーザーにしばらく様子を見る傾向があったが、2年以上も前の基本ソフトがいまだに支持されているようにみえることはなかったような気がする。
 新しい基本ソフトのビスタが不人気で、ビスタに変えず前のXPを使う人が多いため、XPをわざわざ遅くなるようにしているような気もする。
 アップデートと称して、勝手にパソコンの中に立ち入って中味を変えてしまう、考えてみれば恐ろしいことが常態化しているのであるからこういうこともできるのであろう。
 今やパソコン抜きでは何もできないようになっているが、よく分からない世界の中から逃れられない事態になってしまっているというのは不安がつきまとう。