逆転の思想-54
              水道公論2007年 4月号


  休日のありかた
 外国に行くと日曜日に店が閉まっているところが多い。パックツアーに参加していると多くの人が少ない自由時間をけっこう買い物に費やしていて、限られた日程の中で店が開いていないことは不満であろう。商店の休みが法律で決まっている国もあるようである。 ドイツでは休日にトラックがアウトバーンを通行できないと聞く。こういう地域では休日でも活動しているホテル、交通機関などは特別な存在のようである。
 身の周りを見ると、商店、鉄道、運送、レジャー産業、各種サービス業など休日も営業している。昔は休日休みの商店が多かったが、サービス競争が激化している昨今では、ほとんどの店が日曜でも開いている。
 また以前は正月3日間は皆休んだものであるが、今は休んでも元日だけになりつつある。デパートなど年明けに開いて、福袋が目玉商品になっている。
 その上コンビニ、運送業など夜もないような業界もある。お金の引き出しの自動化ができたこともあって銀行も休日に使えるようになった。宅急便に引っ張られて郵便局もそのうち日曜営業になるだろう。休日診療は子供の急病にとって非常にありがたい存在である。このように休祭日でも働いている人は大勢になっているし、どんどん増える傾向にある。
 ただ、こういう世の中は国民の休日の概念からはずれてくる。特に祝日は国全体で休んでお祝いしようという日であるから、多くの人が国民の休日に働く現実が良いのだろうか。 
 温泉など観光地を考えると、年間のお客の数が一緒であるとしたら、休日が分散した方がまんべんなくお客が来ることになり、ありがたいし、サービスも良くなる。
 休日が多くなると一般の勤め人はその分普通の日に休みにくくなる。また、週休2日になった現在、繁忙時期に祭日があって週3日休みであると、短い週日で仕事をこなさなければならず、ただでさえ残業時間の多いお国柄なのに、一層きついこととなる。
 国全体の社会経済効率、充実した休日の過ごし方などを考えると、独自に取る休日を増やした方がいいように思える。
 一方で、職場の他の人が働いているなかで、個別休暇をとることは日本人にはなかなかできないことである。水田管理など農耕作業では集団行動をすることが重要で、この習慣が身に付いていることもある。
 片や貨物運送業界、バス業界で、過当競争による運転手の過酷な勤務が問題化しつつある。休日が固定されない、他の業界でもあるようである。一定年収以上の裁量労働制も運用によっては過重な労働を強いる助けになるような気がする。労働時間の公正な監視が行われなければならない。
 これからの世の中を考えると、社会の回転は一層スピードが上がっていく。この中で休みを分散させていくことは必然なような気がする。一方、法律で一定の休日を強制的にとらせ、労働時間まで社会がチェックするシステムが必要と考える。休日と勤務時間のあり方を、国全体の好ましい社会経済活動の観点から捉えていくことが必要である。