逆転の思想-28-
                水道公論2005年 1月号


 選択の判断

 プロ野球の平成16年リーグ戦は2試合未消化で終了した。選手会のストライキで週末2日が開催できなくなり、その分延期しないでやめてしまった。セリーグで言えば140が138試合になった。2試合とも対戦相手が同じであるので特定のチームとの対戦が少ないことになる。各チームと28試合のところ特定のチームだけ26試合になっている。
 大多数の野球ファンがストライキを支持していたそうである。試合中止は降雨、交通機関のトラブルなどによりひんぱんに起こる。これからストライキによって遅れたものを順延して実施すべきで、中止にするのはいや味のような感じがする。
 対戦数が平等でない最終結果は経緯が永久に言い伝えられていくことになる。後世になって、過去の記録を調べた時、すぐに目立ってしまう。このことが未来の人にどういう印象をもたらすことになるのだろうか。
 いろいろな予期しない問題が起こったあと、どう対処するかは難しいことが多い。考えられる選択肢のうち、どちらかが必然性を持てばいいが。
 試合をどうするか判断する人たちにとってどちらにするかは非常に難しいものであっただろうと考えたい。
 今回の決定の理由は、パリーグのプレーオフの日程が迫っていて延期が難しいということのようである。全天候型の球場が増えていて、昔ほど、天候による日程の乱れがなくなってきているので週末の2試合中止は大きいといえなくもない。
 一方で、パリーグの最終順位3位の日本ハムと4位のロッテのゲーム差は0.5ゲーム。一試合でもやっていたらプレーオフの登場チームが変わっていたかもしれない。4位で終わったチームはどう考えているのだろう。またダイエーと西武の勝差が4.5ゲームで、これが5ゲームあったら、プレーオフの時ダイエーに勝ちが一つついていたのでこちらの方もどうなっていたかわからない。セリーグも2位のヤクルトと3位の巨人の差が0.5ゲームしかなかった。また選手の個人記録も中止した分伸びていない。
 常識的に考えると、実施すべきであったとなると思うが、中止がすんなり通ってしまった。もやもやしたものが残るものであった。
 こういうことをあれこれ取り上げて、世に広める立場の人々が何故か黙っていたのは羨ましい限りである。
 会社の経営、野球界全体、ファンなど立場によっても判断は異なると考えられる。ともかく、短期間で方向付けしなければならない、難しい判断ではあったのだろう。