逆転の思想-26-
                水道公論2004年11月号


 語学教育の改善

 最近、電車の吊り広告で、英会話学校の、我が国の語学教育への挑戦と受け止められるような広告が2枚組で出ているのをよく見る。主旨は、日本で6年間も英語の授業があるのに、話せない人が多い状況について、教育の内容がおかしくて、それを改善するため英語を話す国で育ったネイテイブスピーカーによる楽しい実践的な教育によって、効率的に上達できるというもの。言われる通り同感を示すものである。この広告は京都の地下鉄でも目にしたので相当広い範囲に広告していると思われる。出張先の駅前には必ず目にするほど、ネイテイブスピーカーを講師とする語学学校は全国至るところに急速に展開している。教育の現状の裏返しの気がする。
 大学進学率が50%と高い国で、話せる人が少ないのは確かにおかしい。原因として、読解力が重視されてきたことがある。外国にいくことが非常に希で、本を読んで内容が吸収できればよかった時代から、聞き取れ、話せ、意思疎通など会話が重要になっている時代への展開が遅れている。
 効率的な学習も大きな課題である。義務教育ほど護送船団的なものはない。平均に押し込めようとしている感がある。特に入学試験では、一定範囲を超える出題がなされず、限られた範囲で重箱の隅を掘るような出題状態になっていて、無駄な努力を強いている感がある。特定の科目に秀でた受験生が評価されず、失点の少ない受験生が合格するようになっている。
 教育の改善方策としてITの適正な活用がある。人件費が非常に高い国であるので、安いパソコンを使って学習能率を上げる工夫ができる。楽しく、実践的であるように工夫されたパソコン対話型の語学教育で習熟度に応じた効率的な学習が可能になる。子供は難しいゲームもすぐマスターしてしまうので、ゲーム並みの対話型ソフトを作れば、先生が十分な知識を習得しなくても、学習が進む。また正確な外国語による語学の聞き取りもできる。パソコンでの学習能率は自分の場合を考えると、3倍は上がると考えられる。学校へのパソコンの導入が実施されているが、パソコンを教えるというだけで本格的なものには見えない。
 一方、きめ細かい教育も可能である。パソコンでの学習時間を例えば2/3にすると生徒を3つにグループ分けして小グループでの生徒の特性に応じた授業ができる。
 数学でも同じことが言える。
 教えることの内容、教育システムなど、遅れを早期改善していく必要がある。