逆転の思想-12-
                水道公論2003年 9月号


 ブラックボックスとどうつきあうか

 ブラックボックスとは使っているものの中身が分からない部分と解しているが、もうひとつフライトレコーダーの意味もある。
 ITが身の回りの至る所に入ってきて、ブラックボックスがどんどん増えている。昔の電気製品は調子悪くなると、自分で分解して直すことが出来た。しかし今は修理に出すしかない。配線など細かい構造のため、専門家でもつなぎ直しなどの修理が出来ず、部品ユニットの交換が増えている。最近はそこらじゅうブラックボックスだらけの感がある。
 特にパソコン周辺で強く感じる。ブラックボックスが重なると不具合の時に原因がわからず始末が悪い。その例として、インターネット利用に関して、通信回線設備とプロバイダー設備という2つのブラックボックスがある。インターネットの通信容量はADSLに至り非常に増えた。1.5メガ、8メガ、12メガなど、どんどん容量が増えている。ところがメールなど速度が出ていないことがある。我が家では通信が盛んになる時間帯に遅くなる。数年前、前の職場で、ISDN回線にして通信速度が毎秒64kbの能力があるのに百分の一の毎秒数百バイトくらいまで落ちることがけっこうあり、NTTに問い合わせたところ、回線は容量確保されているという説明であった。この理由はプロバイダーであったBIGLOBEのサーバーの能力増が需要増に追いついていなかったためのようである。
 小生は個人でNiftyをプロバイダーとして契約している。ADSL1.5Mタイプで日頃はスムースに使っている。ファイルや画像の受け渡しでいらいらすることは少ない。しかしメールがおかしい。夜間九時過ぎ、また平日の昼にパンク状態になってメールの通信速度が極端に落ち、つながらないこともしょっちゅうである。Niftyだけの特殊なメールの方法であるが、便利なので使っていることもある。普通のメールソフトの場合はスムースにやりとりできる。状況はだんだんひどくなっている。会社に問い合わせても、確認できないという答えばかり。通常の閲覧でも通信速度が遅くなることがあり、これもプロバイダーの容量不足のようである。どうも顧客拡大に力を注ぎ、自分の設備投資ができていないのではないかと思われる。つまり加入者量拡大競争と実態とが合っていないようである。通信速度が速くなってもこれでは価値がない。
 ブラックボックスもいろいろあるがパソコンのようになくては仕事が進まないのに関わらず信頼性が低い世界では、別システムの用意などフェイルセイフ方策が必要となる。
 ブラックボックスとつきあっていく方法は一連の流れの中で直列につなぐのでなく、できるだけ並列にすることである。それによってどのブラックボックスがおかしいのかわかるようにすればいい。並列であれば、おかしくなった場合、別な方でチェックして正常ならば、当該区間がおかしいということになるし、別な方もおかしければその先に問題があるということになる。
 直列の場合、おかしくなってもどこが悪いのか判断が難しい。
 ブラックボックスだらけの現在、どこが悪いのか早期に判断でき、手を打てるシステム作りが必要となる。