あなたはこんなに酸素を減らしている(1999.12.5改訂)

1、世界各国のエネルギー消費

 人が生きていくためには体内で有機物を燃焼させてエネルギーを生み出していく必要があり、そのため一人一日約500gの酸素が呼吸によって取り込まれ消費されます。
 しかしこの消費量は単に呼吸によるものだけです。人が生活する上で、このほかに食べ物の煮炊き、暖冷房、生活に必要な様々の物資の生産、人やものの輸送などありとあらゆる形のエネルギーが必要です。 このエネルギーを生み出すために石油、天然ガス、石炭が燃料となり、沢山の酸素が使われています。
 この量を調べてみましょう。世界主要国のエネルギー消費(エネルギー源としての一次エネルギー消費を石油換算したもの)は表ー1の通りです。
 日本のエネルギー消費は年間5億トンで総量としてみるとアメリカの4分の1程度です。一人当り消費量は年間4tでアメリカの半分ですが、中国の6倍、インドの10倍以上も使っています。ヨーロッパ諸国と同じくらいの水準です。
 一方GDP当たり消費量を見ると日本は中国の1/7、アメリカの半分以下で世界最低水準にあり、産業界では省エネルギーが大変に進んでいるように見えます。
 エネルギー源のうち、水力、原子力など酸素を使わないものをのぞいた、石油、石炭、天然ガス、などいわゆる化石エネルギーの比率はどうでしょうか。
 原子力利用の進んでいるフランスは55%ですが、ほかの先進国は軒並80%以上となっています。
 これらの化石燃料からエネルギーを生み出すためには酸素を使って燃やすことが不可欠です。

     表ー1 主要国の一次エネルギー消費(1995年)

区分 総消費  (石油換算百万t)  

 

一人当り消費(石油換算t/年・人)  

 

  GDP当たり消費

 (石油換算t /GDP
百万ドル・年)  

 

合 計   うち石油石炭  
天然ガスの割合
%
日  本 497 81 4.0 164
アメリカ 2088 86 7.9 385
ドイツ 339 87 4.2 225
イギリス 224 88 3.8 285
フランス 241 55 4.1 230
旧ソ連 936 93 3.2 1264
中国 853 98 0.7 1233
インドネシア 81 97 0.4 581
インド 248 97 0.3 608
オーストラリア 95 93 5.2 359

     エネルギー経済統計要覧99  省エネルギーセンター                      

2、エネルギー消費をカロリーでみると

次にエネルギー消費をカロリーで見てみましょう。わが国の1995年における状況は次の通りです。

       表ー2 わが国の一次エネルギー源別供給量

エネルギー源 年一人当り消費量 (百万kcal)  
石炭     7.2
石油    24.3
天然ガス     4.7
原子力     5.2
水力     1.5
地熱その他     0.6
合計    43.5

     エネルギー・経済統計要覧99

 一人当り消費量は43.5百万キロカロリーで一日当りにすると12万キロカロリーになります。食べ物のエネルギーが2000キロカロリーですから、なんと工業製品まで含めてもろもろの用途に食べ物の60倍ものエネルギーが消費されているのです。 一人当り消費量のうち化石エネルギーは36.2百万キロカロリーと大半を占めています。また一日当りにすると10万キロカロリーになります。

3、化石エネルギーの酸素消費

化石エネルギー源からエネルギーを取り出すため燃やすことが必要ですが、燃焼のためどれくらいの酸素が使われるのでしょうか。酸素1gの燃焼で4キロカロリーの熱を出すと考えて下さい。これを使って化石燃料が消費する酸素を計算してみますと、
100、000キロカロリー÷4キロカロリー/g=25,000g
                    となり、  
 一人一日当りの酸素消費量は25kgと呼吸によるものの50倍の量になります。このように人の生活水準を支えるため、呼吸によるものの何十倍の酸素が使われています。

4、酸素のバランス

 次に酸素のバランスで考えてみましょう。食べ物は、様々な植物や植物プランクトンが、太陽の光と炭酸ガス、水を用いて作った有機物がその素となっています。人の体内に取り込んでエネルギー化しても炭酸ガスや水に戻るだけです。
 従って、酸素バランスとしてはプラスマイナスゼロと考えられます。
しかし化石燃料を燃やすことは過去に炭酸同化作用でつくられた、貴重な酸素を減らしていくことになります。
 人の生涯で使ってしまう酸素量を計算してみましょう。

 人の寿命を80年とすると、
 25kg/日*365日*80年 = 730、000kg

 この事は日本人一人の存在によって、地球上の700トンもの酸素を減らしてしまうことを意味します。
700トンの酸素は3000トンの大気中に含まれます。地表1平方メートルの上空の大気量が10トンですから、地表300平方メートルの上空の全酸素量を使ってしまうことになります。

 地球上で現在利用可能な酸素量は人口一人当り20万トンです。700トンはこの量の0.35%に当たります。化石燃料の使用をどんどん抑えて行かないと大変なことになりそうです。

 海外旅行を考えます。飛行機でどれくらいの酸素を使うのか計算してみます。大型ジェット機でヨーロッパやアメリカに行くのに片道乗客一人当り400kgの燃料を消費するそうで、これから1tの酸素が使われると推定されます。往復で2tになり、一人当り年間酸素総消費量8tの25%にもなります。

目次へ戻る