あなたはこんな量の二酸化炭素を出している(2002.1.11改訂)
1,呼吸による二酸化炭素の排出
最初に人の呼吸の方から考えてみます。人の呼吸する空気の量は一日8.6m3です。また人の吐く息の中の二酸化炭素の容量は4%といわれています。これから一日当りの二酸化炭素排出量は8.6×0.04=0.34立方メートルと考えられます。
二酸化炭素の空気に対する比重は1.53ですので、この重さは0.34m3×1.2(kg/m3)× 1.53=0.6kgとなります。年間では、0.6kg×365日=220kgとなります。
食べ物は空気中の二酸化炭素を植物が取り込んで炭酸同化作用をおこない、できた有機物がもとになっているので、この0.6kgという数字自体は地球の二酸化炭素を増やす要因にはならないと考えられます。問題は、各種のエネルギー生産のための燃料を燃やす時にでてくる二酸化炭素です。この中には、農耕のトラクター運転のための燃料、肥料や農薬生産のためのエネルギー消費も含まれています。つまり、二酸化炭素を食料としての有機物に転換するのに必要な化石燃料から、二酸化炭素がつくられているのです。
2,我が国の二酸化炭素総排出量
様々な社会経済活動、生活のため多量の電力、燃料、工業資源が消費されています。これらの活動による我が国の1995年における二酸化炭素排出量は表−1に示されます。これを見るとエネルギーを産み出すために大量のCO2が排出されていることがわかります。
| 表−1 1995年の我が国のCO 2排出量 | |||
| 区分 | CO2排出億トン/年 | CO2一人あたり排出 トン/年 |
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| エネルギー (燃料の燃焼) |
エネルギー産業部門 | 3.6 | 2.9 |
| 製造業・建設業部門 | 3.5 | 2.8 | |
| 運輸部門 | 2.4 | 1.9 | |
| 民生・農水産・その他 | 1.9 | 1.5 | |
| エネルギー小計 | 11.4 | 9.1 | |
| 工業プロセス | 0.6 | 0.5 | |
| 廃棄物焼却など | 0.2 | 0.1 | |
| 排出の合計 | 12.2 | 9.7 | |
| 森林などによる吸収 | △0.9 | △0.8 | |
政府資料より |
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一人当たりCO2排出量9.1トンを一日にすると25kgです。毎日体重の半分近い重量の炭酸ガスを出していることになります。炭酸ガスは一気圧で一立方メートルあたり約2kgの重さですから、その容量は約13立方メートルになります。人生80年とすると日本人一人が一生に発生させる二酸化炭素は730トンにもなります。
森林はCO2を吸収してくれますが、日本は平地が少なく山林など緑地面積が多いのに吸収量はエネルギー発生量の十分の一程度です。エネルギー消費量が多すぎるのでしょうか。
3、二酸化炭素の発生を考える
現在、エネルギーの主体となっている石油で考えてみます。
Cを85%、Hを12%とし、100gの石油で考えると、分子量の比から、85gの炭素は85×(44/12)=310gの二酸化炭素となり、12gの水素は12×(18/2)=108gの水となります。このとき使われる酸素量は310+108−(85+12)=321gです。
321gの酸素を用いて310gの二酸化炭素がでてくることから、二酸化炭素発生量は石油の重さの3倍で燃焼に使われた酸素量と同じと考えましょう。
我が国の一次エネルギー消費のうち石油・石炭。天然ガスなど化石燃料によるものは石油に換算して4億トンで一人あたり年間3.2トンになります。
エネルギー発生による二酸化炭素発生量の9トンを考えてみます。
毎日沢山でるゴミの発生量が一人一日で1kgといわれていますから、年に直すと0.365tになります。化石燃料による、二酸化炭素の一人当り排出量はゴミの発生量の25倍もの量になるのです。
4、昔ははこんなに少なかった二酸化炭素排出量
二酸化炭素の排出量はどのような推移を示すのでしょうか。下のグラフは我が国一人当たりの二酸化炭素排出量を示しています(出典 99’エネルギー経済統計要覧)。これを見ると排出量が経済成長とともに指数的に増えていることがわかります。増え方が大きいため対数表示となっています。今から50年前の1950年は人口8320万人、総排出量は98百万トンで一人当たりでは1.2t、100年前の1900年は人口4380万人、総排出量1820万トンで一人当たりたった0.4tでした。1950年から1995年までの平均増加率は4.6%、1900年から1995年までの平均増加率は3.3%となります。
温暖化防止のため我が国は2010年頃までに二酸化炭素排出量を1995年の6%減にすると約束していますがその節約量は一人当たり0.55tです。これまでの増加から考えると6%削減は難しくはないように見えますが生活水準や経済活動のレベルを維持して減らすことは大変難しいことのようです。

5,1990年以降の増加
このうち産業系は殆ど増えていないのに、家庭系15%、業務系20%、交通23%と職住環境や輸送で増加が著しいことを示しています。ただし1995年以降はあまり増えていません。
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表2 日本の二酸化炭素排出量の推移 単位百万トン |
| 1990年 | 1995年 | 1999年 | 1999/1990 | |
| 総量 | 1124.4 | 1221.1 | 1225 | 1.09 |
| 産業系 | 490.1 | 489.8 | 494 | 1.008 |
| 家庭系 | 138.2 | 160 | 159 | 1.15 |
| 業務系 | 124.5 | 143.3 | 149.5 | 1.201 |
| 交通 | 212.4 | 247 | 259.9 | 1.23 |
| その他 | 159.2 | 181 | 162.6 | 1.021 |
地球温暖化防止行動計画の総括(上) 柳下正治著 資源環境対策 vol.38 No.1 2002 より
表1と内訳が違いますね。
6,身近な例で考えると
乗用車の燃料消費量はガソリン1リットルあたり15kmくらいですね。これから計算すると車が1km走る毎に約200gの二酸化炭素を作り出すことになります。120kmくらい走ると24kgと一人一日当りの化石エネルギーによる二酸化炭素排出総量25kgと同じくらいになります。
風呂を沸かすことによる二酸化炭素排出量を計算してみましょう。風呂の容量を160リットルとすると、25度c加温するのに、4000キロカロリー必要です。天然ガスの8割が炭素、2割が水素とすると、1gの燃焼で2.9gの二酸化炭素がでてくることになり、熱のロスを25%とすると沸かすのに使われる280gのガスから1000gの二酸化炭素が排出されることになります。 一回節約することの効果は、一人一日当り化石エネルギー全二酸化炭素排出量の4%程度です。これから細かい努力の積み上げが大事になりそうです。